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【インタビュー】「綺麗な形でゲームに勝つ」中国出身で飛び級昇進を果たしたコンサルタントの考える勝ち方とは

今回は電通コンサルティングでコンサルタントを務める馮 瑩瑩へのインタビューの内容をお届けします。

※インタビュー内容、所属、役職は取材当時のものです。(2022年12月取材)


目次[非表示]

  1. 1.証券会社の商品企画・マーケティング担当から戦略コンサルタントへ
  2. 2.電通コンサルティングで「飛び級」での昇進
  3. 3.「綺麗な形でゲームに勝つ」
  4. 4.「自分らしく過ごせる」――日本の新たな環境で得た自由と裁量


証券会社の商品企画・マーケティング担当から戦略コンサルタントへ


―――電通コンサルティング入社までのご経歴を教えて頂けますか?


馮:高校生の頃に上海から日本に渡り、慶應義塾大学の商学部に入学しました。大学ではゲーム理論や経営戦略を学びました。新卒で大手証券会社に入社し、カスタマーサービスの研修を受けた後はFX事業部に配属されました。事業部ではFXをはじめ、CFDやバイナリーオプションなどの商品・サービス企画とマーケティングを担当していました。

​​​​​​​商品・サービス企画業務では、個人投資家の多様なニーズ、競合他社の商品・サービスのスペック、自社の他の商品・サービスとのシナジーなどを考慮し、商品・サービスの追加と改善の企画・実施をしていました。

マーケティング業務では広告代理店やコンテンツ制作チームと協働して、ターゲットに合わせた広告・コンテンツの企画、実行、効果計測といったPDCAを回していました。
3年程証券会社で働いた後、電通コンサルティングに入社しました。


―――なぜ戦略コンサルタントへの転職を決めたのですか?


馮:社会人3年目に入り、同じ商品・サービス・業務と限られた予算に対して、自分の成長に停滞を感じ、新しい経験を求めて転職を決めました。

学生時代から「世の中を良くしたい」という想いがあり、将来的には社会課題の解決やイノベーションの創出に自分の力を尽くしたいと考えています。まずは若いうちにある専門領域のプロフェッショナルというよりも、幅広いテーマで課題洞察・解決できるプロフェッショナルになりたいため、様々なテーマで経験・スキルを効率的に身に着けられる戦略コンサルタントを志望するようになりました。

また、飽き性なので、プロジェクトの期間が短く、常にインプット・アウトプットが必要な環境という点も志望した理由ですね。


電通コンサルティングで「飛び級」での昇進


―――馮さんはアナリストとして入社後、突出したパフォーマンスでわずか3か月でコンサルタントに「飛び級」で昇進しましたね。その間意識していたことはありますか?


馮:プロジェクトやタスクの性質によって異なりますが、共通的に、ゴール・バリュー・コミュニケーション・スピードを常に意識しています。

例えば、「課題解決型の提案書作成」のタスクを振られたら、アクションとして4つのステップがあると思います。

ステップ1:手を動かす前に、タスクを砕いて、ゴールとプロセスについて認識合わせをする必要があります。タスクのゴールに対してこのように理解していいのか、次のようなプロセスでこのようなストーリーラインを構築していいのか、参考資料があるのかなど、チーム内で事前に認識合わせをすることが大事だと思います。

ステップ2:実際に手を動かすときは、まずはスピーディに外部・内部環境の情報収集・整理をして状況を把握します。課題の構造化と論点の特定を行い、解決方法を考案します。その際は、電通グループとして、どの過程の中でどのような独自価値を提供できるかも考えます。

ステップ3:自分の考えた結果と要相談事項をチーム内で共有・確認します。その際、「誰がどんな情報を持っているか」もあらかじめインプットすることが大事ですね。

ステップ4:ステップ2~3のサイクルをできるだけ早く、そして何回も回し、「どんな意味のある課題をどのように解明・解決するか」というアウトプットのストーリーラインを構築しながら、わかりやすい資料を作成します。

新人ならまだ知らない・まだできないことが多いですが、未知や困難に怯えず、ゴール・バリュー・コミュニケーション・スピードを意識し、少しでも力になれるよう全力を出したらいいと思います。

また、一段落ついたら、振り返りも大事だと思います。「どんな手順でそのタスクをクリアしたか」「意識すべきことがあるか」「より簡単な方法があるか」などを整理・再考し、より高い生産性を目指して自らの方法を構築・改善することを意識しています。


―――振り返りで自らの方法を構築・改善するためにどのような工夫をしていましたか?


馮:自分がどのような人間か、深く認識することが重要かなと思っています。自分の強みは何で、一緒に働く相手とどのような価値の交換(ギブ&テイク)をできるか。自分は何をしたくて、何をしてほしいか。振り返りを通じて、これらを明確にしておくようにしています。

そして、視野を広げることも大事だと思います。を読んだり、他社の公開されている資料を読んだりすることで、「どんなアウトプットが良いと言えるか」の判断力、「どうすればより効率的になるか」ヒント得ることができます。


「綺麗な形でゲームに勝つ」


―――コンサルタントとして働くとき、最も楽しいと思うのはどんな瞬間ですか?


馮:私は興味があることをするとき、勝負心が強く、「綺麗な形でゲームに勝つ」ことを意識するタイプです。「綺麗だったのか」「勝ったのか」の自分の判断基準は客観的な結果だけではなく、そのときの環境や能力によって変わりますが、いつでもそのときの自分が納得できるレベルまで「綺麗な形でゲームに勝つ」ことに最善を尽くします。

コンサルタントとして働く今は、「クライアントにとって高い価値があるアプトプットを提供すること」「その過程が効率的であること」を大事にしています。また、クライアントや一緒に働く仲間、電通グループのメンバー、協力してもらうベンダーといった「関係者を理解する」ことも意識するようにしています。

課題と向き合って、利用できる顕在的・潜在的・人的・物的なリソースを見つけて上手く運用してスムーズな形でクライアントにとって価値のあるアウトプットを生み出したときは、「いい勝負をしたな」という気分が強くなり、最も楽しいと思う瞬間ですね。


「自分らしく過ごせる」――日本の新たな環境で得た自由と裁量


―――日本での生活や仕事で感じた中国との違いはありますか?


馮:個人的には「つらさ」ですね。

中国の学生は、大学受験に向けて学校から膨大な宿題を課されて、毎日夜12時まで勉強する日々を送っていて、私はそのような環境の中で、非常にストレスを抱えていました。高校生になって成績が伸びず、ひどく落ち込んだ時期もあります。

アニメや野球への興味をきっかけに、高校卒業後、日本で留学生活を始めました。日本に渡ってからは、学校でも職場でも、ゴールを意識して自分のペースで計画をたてることで良い成績・成果を得ることができています。そのことから、自分は自由と裁量がある環境でしか高いパフォーマンスを発揮できないタイプだと気づきました。このような環境で自分らしく生き生きと過ごせることで、本当に日本に来てよかったと思います。

もちろん、中国の基礎教育のおかげで高度な資料作成のスキル、財務知識、数学力、英語力を身に付けたからこそ、今の仕事でこんなにもパフォーマンスを発揮できているのだと思います。そんなつらい時期を乗り越えたことも、自信につながっています。


●今回インタビューした方

馮 瑩瑩
電通コンサルティング コンサルタント

馮瑩瑩

慶應義塾大学商学部卒業。
新卒で国内大手ネット証券に入社。FX・CFD事業のサービスグロースに従事。
2022年4月電通コンサルティングに入社。大手企業のグロース戦略策定、新規事業の立ち上げ、長期ビジョン策定支援を経験。