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【インタビュー】未経験からマネジャーへ。コンサルタントとして駆け上がる中で体感した「マタイ効果」とは?

今回は電通コンサルティングでマネジャーを務める秋枝 克実へのインタビューとして、新人アナリストがお話を伺いました。前編をまだ読んでいない方はぜひそちらもご覧ください。

※インタビュー内容、所属、役職は取材当時のものです。(2022年7月取材)


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目次[非表示]

  1. 1.未経験の業界への転身。挑戦の「秘訣」と支えた「励み」
  2. 2.右脳人材との協働という電通グループならではの「やりがい」
  3. 3.プロジェクトが打ち切りになった経験から痛感した学び
  4. 4.電通コンサルティングで携わっているプロジェクト
  5. 5.コンサルタントのやりがいと「マタイ効果」
  6. 6.人間味のあるコミュニケーションで、チームがパフォーマンスを発揮しやすい環境を


未経験の業界への転身。挑戦の「秘訣」と支えた「励み」


―――システム開発からマーケティング領域へと転職した時、ゼロから勉強したとおっしゃっていましたね。新しい領域でキャッチアップする秘訣は何ですか?


秋枝:自分の得意な領域を見つけることです。マーケティングは奥が深く、幅が広いので最初は雲をつかむような感じでした。電通デジタルでいくつか案件を経験するうちに、自分はここならやっていけると自信をもてるポジション(役割)を見つけました。例えばCMのプランナーのような仕事を自分がやらなければいけないわけではなく、自分の得意な領域に気付くことで、価値を発揮できるうえに「仕事の面白さ」にも繋がっていきました。

SIer(※)で働いていた頃は、業務システムを担当しており、いわゆる「表」にでてくる、生活者が目にするようなシステムはほとんど扱いませんでした。それが電通デジタルや電通グループであれば生活者が実際に触るシステムに関わることができます。アプリやウェブサイト、その仕組みの上で提供するサービスなど、生活者の方に見てもらい使われる、つまりフィードバックがわかりやすいプロジェクトが多かったので、それが励みになりました。

※SIer…システムインテグレーター。クライアントのシステム開発・運用に関する業務を請け負う企業


右脳人材との協働という電通グループならではの「やりがい」


―――仕事で特に楽しさや嬉しさを感じたプロジェクトはありますか?

秋枝:とある大手自動車メーカーの案件で、サブスクリプションサービスの集客のために、ロイヤルティプログラム(ポイントプログラム)の構築をプロジェクトマネジャーとして進めた時が楽しかったですね。システムの話だけではなく、どのような話をすると生活者に喜んでもらえるか、生活者の心理状態をこちらの期待通りに変化させるにはどうするかという議論を重ねたり、それらの構想を実際にモノにするときに、クリエイティブディレクターと話したりするのが新鮮でした。

クリエイティブディレクターは、「なぜこのクリエイティブが良いのか」というロジックが弱くても枠にとらわれず自由な発想でアイディアを様々創り出し自信をもって提案することができ、自分とは異なる思考法で仕事をしていると肌で感じました。自分とは異なる思考法を否定するのではなく、上手く組み合わせるためにはお互いの理解が必要です。対等に論議しながら何がクライアントにとってより良い提案か一緒に検討することは新しい気付きがあって楽しいものでした。もちろんサービスが世に出ていくということにも仕事として喜びを感じましたね。

このときの案件は事業が立ち上がったばかりで、クライアントの体制も整っておらず、あらゆる相談をいただく状況でした。例えば、サービスを実現するためのベンダー選定の評価軸や評価項目をゼロから作って選んだり、社長報告向けの資料を作ったりということまでしていました。それも、サービスのリリースまで時間がなく、短期間でやりきる必要がありました。大変でしたが、大きな役割を任せてもらえたことが嬉しくもありました。


プロジェクトが打ち切りになった経験から痛感した学び


―――大変な分、プロジェクトが成功ときの達成感は違うだろうなと思います。逆に悔しさを感じたプロジェクトはありますか?


秋枝:一番悔しかったのは、ある自動車メーカーに対して半年かけてマーケティング基盤システムを構築した案件です。車のような高価格帯商品だと検討期間が長いので、思い付きで買う人はなかなかいません。車の買い替えのタイミングも新車購入時からであれば7、8年後など長いスパンなので、施策の効果を評価することは簡単ではありません。そのためシステム投資の費用対効果が見えず、打ち切りになったプロジェクトがありました。

プロジェクトの継続可否はビジネスサイドの要件であり、当時の立場からは関与しにくい部分ではあったのですが、自分の関わったプロジェクトがクライアントに評価されず、打ち切りになってしまうのはショックで、「投入した資源で何か他にやれたんじゃないか」と思いました。上流と言われる実行に移る前の段階で根本的に解くべき課題を定義しなければならないということうを痛感し、自分自身が課題設定の段階から関与したいと思いましたね。電通コンサルティングでは、上流の課題探索領域から入り、プロジェクト全体を外なる当事者として一気通貫の支援体制を構築できるため、クライアントの目指したいゴールに向かってどのようなアプローチをするか考えることができ、私のやりたいことと合致しています。


電通コンサルティングで携わっているプロジェクト


―――電通コンサルティングではどのようなプロジェクトを担当していますか?


秋枝:電通コンサルティングには入社して半年ほど経ちますが、主にある自動車メーカーの案件を担当しています。自動車業界はいま100年に1度の変革期を迎えていると言われています。この変革期の中で既存のバリューチェーンを見直すことをしています。具体的には車販売事業者とメーカーの関係を強化するための手段としてサービス開発をしています。


―――どのような点で苦労していますか?


秋枝:最終的にお客様に車を販売する事業者とメーカーとの距離が遠い場合があり、売り場に響かせるにはどのような施策をうてばいいか考えるのが難しいですね。数万店舗におよぶ車販売事業者全てには向き合うことはできず、仮に1,000店程に絞ったとしても店によって違いがあります。例えば、店舗によっては、販売のみをしており修理を受け付けない店舗があったり、修理工場が1つしかない店舗から何十台分も修理する場所がある店舗があったりします。

マーケティング的に考えると、ターゲットを設定し、その人たちが何を求めているのかを考えないと興味すら持たれず使われないサービスになってしまいます。幅広いバリエーションの1,000店に対し、使ってもらうにはどうするかまで考えるのは大変です。メーカーの要望としては、なるべく多くの店舗に使ってもらえるシステムをつくりたい。しかし販売事業者と商流上の関わりが少なく、現場の情報が少ないなどの課題があります。現在はそのような課題にまさに取り組んでいるところです。


コンサルタントのやりがいと「マタイ効果」

	コンサルタントのやりがいと「マタイ効果」


―――秋枝さんがコンサルタントとしてやりがいを感じるのはどのような時ですか?

秋枝:クライアントが困っている時に、課題を紐解く中で表面的な課題だけではなく、根っこにある課題を見つけて一緒に解決することで、ビジネスが上手く回ることを実現・体感できた時です。ビジネス上の課題を解決して、売上やコストなど実際に数字として結果を生み出せたときは嬉しいですね。

それから、お客様から必要とされる時。「この人なら任せられる」と思ってもらえて、請け負った範囲以外にも相談を頂けるといったように、「人として買ってもらっている」時は個人的にやりがいを感じます。

電通コンサルティングは世の中にサービスが出ていくプロジェクトが多いので、他のコンサルティングファームよりもやりがいを感じやすいですね。


―――引き合いを頂けるのはいい仕事ができている証拠ですね。


秋枝:コンサルタントはまさに「マタイ効果」が当てはまる職業で、コンサルタントは仕事で成果をだすほど更に仕事がついてくることが多いです。

※マタイ効果…条件に恵まれた研究者は優れた業績を挙げることでさらに条件に恵まれるという現象。「持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられる」というマタイの福音書の一節に因むもの。


人間味のあるコミュニケーションで、チームがパフォーマンスを発揮しやすい環境を


―――マネジャーとして、チームビルディングの上で大事にしていることはありますか?


秋枝:キツイことがあっても、なるべく楽しくチームメンバーに働いてもらうようにプロジェクトを回す事は意識しています。クライアントに求められる水準・期待値が高いからこそ、どうしても時間を効率良く使い、多くのことに考えを巡らせる必要がありますよね。

そういった状況でどう仕事を回すかはコミュニケーション戦略だと思っています。心理的な安全性を確保できる関係性を築き、いかにパフォーマンスを発揮しやすい環境を作るかを大事にしています。慣れあいにするつもりはないですが、なるべく楽しく話せる環境にすることは私なりにプロジェクトで気を付けています。機械みたいに最小限の会話だけでやることもできますが、人間味をもって、顧客心理だけでなく一緒に働くメンバーの心理も考えるようにしています。


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●今回インタビューした方

秋枝 克実
電通コンサルティング マネジャー

秋枝克実_プロフィール

大学院情報学研究科修士課程修了。
システムインテグレーターに入社し、システムの企画から構築まで一連の開発業務と、新業務の設計や業務プロセス改革などコンサルティングに従事した後、グローバルコンサルティングファームで主に業務の設計・定着化を担当。その後、電通デジタルでマーケティング領域の企画・構想、実行支援に従事し、2022年から現職。
企画・構想を実現するためにステークホルダーを巻き込み、デジタルサービスの開発工程まで踏み込んだ支援が強み。


秋枝のプロフィールについて詳しくはこちら >>