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【インタビュー】「BtoB企業にパラダイムシフトを」新ソリューションで生み出す「知の循環によるグロースの実現」とは

今回は電通コンサルティングでシニアコンサルタントを務める蓮實 良尚へのインタビューの内容をお届けします。新しく考案したソリューションについて深掘りしました。

※インタビュー内容、所属、役職は取材当時のものです。(2022年10月取材)


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目次[非表示]

  1. 1.多くのBtoB企業が抱える課題とは?
  2. 2.DtoCの新規ビジネスで消費者接点を創出
  3. 3.生活者インサイトの獲得とコア事業のグロースを生み出す「知の循環」
  4. 4.「外国で暮らす」レベルのパラダイムシフト?DtoC事業立ち上げのポイント


多くのBtoB企業が抱える課題とは?


―――今回は蓮實さんが考案したソリューション「BtoB企業におけるコア事業の成長ドライバーとしてのDtoC事業戦略策定」についてお伺いします。どのようなお客様に向けたソリューションでしょうか?


蓮實:BtoB企業の中でも、FMCG(日用消費財)を扱っているメーカーのCMOや経営企画部門、事業部門を主なクライアントとして想定していますが、DtoC事業を展開する際に必要なユニークな技術といったケイパビリティや、生産設備等のアセットを保有する企業であれば、必ずしもその限りではないと考えています。


―――該当するBtoB企業では、どのような課題をお持ちなのでしょうか?


蓮實:前職でもBtoB企業のブランディング案件等を多数担当してきましたが、クライアントから伺う話には主に2つの共通点がありました。

1つは最終顧客の顔が見えないために、どのような方向性で製品を開発すべきかの方針をたてることが極めて難しい。1つには、社会的な知名度の低さに起因し、従業員のモチベーションが保ちにくい、併せて新規の人材獲得に支障をきたしているといった人に関わる話です。

この2つの事象は一見、まったく異なったもののように感じられるかもしれませんが、根本には、自社のアイデンティティに関わる課題があると、私は考えています。自社がどのような価値提供を実現し社会を豊かにしていくのか、その方向性が明確にできていないために、従業員は拠って立つところをしっかりと持つことができず、また、新たな人材が集まるための旗印も見えないといったことが発生しているのではないかということです。


DtoCの新規ビジネスで消費者接点を創出


―――知名度や生活者理解における課題をどのように解決するのでしょうか?


蓮實:これらの課題に直截的に答える1つの方法として、DtoC事業への進出があると考えています。社会におけるマクロ・ミクロ両面の環境変化を入口に、自社のお客様イメージを明確化していく、その先に価値提供のあるべき姿をイメージする。

この過程を通して、自社のアイデンティティの解像度を高めていく。最終的に製品を上市しお客様からフィードバックを得ることで、さらに自社が提供する価値のあるべき姿を見つめなおしていく。

これら一連の活動に従業員を巻き込むことで、エンゲージメントを深めエンパワメントしていく、共鳴する外部人材を獲得していく、といったことも可能になってくるものと考えています。
近年ではデジタル技術の進展による恩恵もあり、オンラインを活用しスモールに事業をはじめやすくかつ、お客様の反応もつかみやすくなってきており、環境も整ってきていると言えます。


生活者インサイトの獲得とコア事業のグロースを生み出す「知の循環」

生活者インサイトの獲得とコア事業のグロースを生み出す「知の循環」


―――新規DtoCビジネスの戦略策定にあたって、このソリューションの特徴を教えて頂けますか?


蓮實:BtoB企業がDtoCへ進出するというと、短絡的に事業における新しい柱をつくるといった話に受け取られがちですが、短期間でその水準まで成長させるのは容易なことではありません。よって、本メニューではあくまでも、コア事業のグロースに重きをおき、その実現のための手段としてDtoC事業を捉えています。

そこに向けて必須となるのは、対象市場における「生活者インサイトの獲得」と、そこで得られた知見を「コア事業に活用」するという「知の循環」を実現することであり、生活者理解とコア事業成長のPDCAサイクルが回る状態をゴールとして設計します。

生活者インサイトの獲得という点においては、長年、広告コミュニケーション事業を営んできた電通グループの保有するリソースやネットワークの活用はとても有効に働くと考えています。また、多様なケースやナレッジが蓄積されている分スタートラインでの情報量が多く、スペシャリティを持つグループ企業との連携により戦略策定から実行までをシームレスにご支援することも可能です。


「外国で暮らす」レベルのパラダイムシフト?DtoC事業立ち上げのポイント


―――新規のDtoC事業の実現において、どのような点が重要になるでしょうか?


蓮實:toBとtoCでは同様の製品を扱うとしても異なる点が多く、ある意味でパラダイムを転換させなければならない点が出てきます。

例えば、これまで中間品を生産していた企業がtoCビジネスを始める場合、新たに完成品化する工程が発生します。自社にないケイパビリティを内部で保有するのか、外部に求めるのか、時間やコスト含めて収支計画を立て検討する必要があります。

また、マーケティング活動においても、対象顧客が見えていて、理性的な取引が中心であったスタイルからの転換が求められます。

これらの変化は極端に言えば「さあ、今から外国で暮らしてきて」と言われるかのようなもので、おかれる文化や必要とする言語が変わってくるレベルで社内変革が求められる部分が出てきます。


―――大きな変革となりますが、どのようにクライアントをサポートしますか?


「考え方の転換に寄り添う」ことを心がけています。最初にご提案したワークプランを堅持し、それに則って進めるのではなく、必要に応じてアダプティブにワーク、プロセスを組み替えていく。つまり状況に対して常に仮説をもって接し、反応を見ながら進めるように柔軟な支援をご提供していきます。


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●今回インタビューした方

蓮實 良尚
電通コンサルティング シニアコンサルタント

蓮實良尚

大学院商学研究科専門職学位課程(現経営管理研究科)修了。経営管理修士。
電通グループの広告会社にてコミュニケーション領域の戦略策定やブランドコンサルティングに従事。
2020年より電通コンサルティングへ参画。現在は、民間企業の中期計画における注力領域策定や機能別組織の立上をはじめ、公共部門の振興計画策定まで幅広いプロジェクトに従事。


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