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【インタビュー】新しいビジネスを生み出すために必要な「実行力」と「不確実性耐性」とは?出向社員が語る電通グループのビジネスデザイン

今回は電通コンサルティングでシニアコンサルタントを務め、現在電通BXデザイン局(以下、BXD局)へ出向中の中村 太郎、加藤 久美子の対談の内容をお届けします。

※インタビュー内容、所属、役職は取材当時のものです。(2023年2月取材)


目次[非表示]

  1. 1.「ロジックだけではないユニークなアプローチ」面接で感じた他社との違い
  2. 2.事業計画策定からアプリUI・運用設計まで…電通コンサルティングでの幅広い業務
  3. 3.電通グループのもつ「実行力」と「不確実性耐性」
  4. 4.コンサルタントとしての「想い」と「やりがい」


「ロジックだけではないユニークなアプローチ」面接で感じた他社との違い


―――電通コンサルティング入社までのご経歴を教えて頂けますか?

加藤:私は大学で公共政策について学び、政策に関する論文を執筆する中で社会課題解決に興味を抱き、プロボノができる企業や、課題解決の思考プロセスを学べる企業への就職を志望し、総合系のコンサルティングファームに入社しました。

※プロボノ…職業上持っている知識やスキルを活用して取り組む社会貢献活動


主にITシステム導入支援の案件に参画し、1年目からクライアントと対峙できた一方で、もう少し事業側の観点からクライアントと議論をしたいと感じ、電通コンサルティングへと転職しました。


中村:私は大学院在学中にオランダに留学していたため、海外で働くことに魅力を感じ、就職先については日本を拠点にしつつ海外でも働ける企業を志望していました。そのため大学院卒業後は理系のバックグラウンドを活かしつつ、海外展開をしているプラントエンジニアリング会社に機械エンジニアとして入社し、機械配管の設計等をしていました。業務を遂行する中で、自分は「企画」が好きだということに気づき、転職活動を経て電通コンサルティングに入社しました。


―――電通コンサルティングへ入社した決め手はどのようなところでしょうか?


加藤:コンサルティングには「ロジック」は必要不可欠ですが、それだけではどの課題に対しても同じ答えしか出ず、本当に顧客のためになるのか疑問を感じていました。いくつかの会社の面接を受ける中で、ロジックだけにとらわれずユニークなアプローチをしているところに魅力を感じ、電通コンサルティングに入社しました。

当時の森元社長や社員の方との面接が面白かったことも入社の決め手です。よくあるケース面接だったのですが、模範解答を押し付けるわけではなく、目を輝かせながら「僕ならクライアントにこう提案したいけどどうかな」と、ともに議論できたことが印象的でした。


中村:私も、面接が面白いと感じましたね。他のコンサルティングファームでは面接で圧を感じ、ロジカルであることを求められることもありましたが、それに対して電通コンサルティングではそのようなことはなく、自由なアイディアで発想したり、クリエイティブな思考でやりとりできたことに魅力を感じました。


事業計画策定からアプリUI・運用設計まで…電通コンサルティングでの幅広い業務

事業計画策定からアプリUI・運用設計まで…電通コンサルティングでの幅広い業務


―――電通コンサルティングでの業務について教えて頂けますか?


加藤: 電通コンサルティングでは、乳製品メーカーの新規事業開発や、大手ゼネコンの中期経営計画策定支援をおこなっていました。


中村:私は、地方自治体の新規事業計画プロジェクトで、事業計画策定からアプリのUI設計まで幅広い業務をしていました。


加藤:私も同じプロジェクトに参画していた時期がありました。自治体や新聞、銀行など多くのステークホルダーがおり、うまく利害関係者の調整しながら「地域アプリ」のあるべき姿を検討していました。

中村:他にも、大手通信会社の人材獲得戦略策定のプロジェクトでは、どのような人材を、どのような選考で採用するか、コロナ禍においてどのようなインターンシップの企画を立案すれば良いか、などを提案しました。具体的な運用まで描いた提案が実際に形になり、継続されているのを見たときは嬉しかったですね。


電通グループのもつ「実行力」と「不確実性耐性」

電通グループのもつ「実行力」と「不確実性耐性」


――現在は電通BXD局への出向をされていますが、電通グループの強みについて教えて頂けますか?


加藤:「実行力」ですね。一般的に、実行支援を唄いながら、実態は請負に過ぎないコンサルティングファームが多いと思います。電通グループの「実行力」は、クライアントのスタッフ・経営層が下す一個一個の意思決定における壁を、『ロジック・アイディア・交渉術』で突破していけること。これができる人が多いことが、電通グループが実現性をともなったビジネスデザインができる理由だと思います。


中村:「実行力」は同意ですね。論理だけで四角四面に考えることはしません。普段からクライアントと密にコミュニケーションをとっている電通グループだからこそ生み出せるユニークな示唆があり、それを踏まえることでクライアントの納得度の高い提案・企画ができると思います。感情の機微まで考えた打ち返しが「実行力」に繋がっているのではないでしょうか。


加藤:私も「感情に訴える」ことは電通グループの特徴として感じますね。「そこまでするのか」のレベルまで、具体的で視覚的な情報に落とし込むんです。情報をロジカルに整理した資料と、心に訴えるような資料をバランスよく作ることが、手触り感・納得感をもってもらうためのコツなのかな。


中村:新しくユニークなビジネスを考える時、前例がないことが多いです。そのような時は不確実性が必ずやってきます。「今時点で世に無いコンセプトの商品を市場投入したらどれくらいシェアがとれるのか、10年後の市場規模や顧客の価値観はどうなるか」といった問いですね。
電通グループはそのような不確実性に強いと考えています。全く答えが見えない中で議論を重ねることが得意です。電通はパーパスとして「an invitation to the never before」を掲げていますが、正にパーパスを体現している社員が多い印象です。



【参考】「an invitation to the never before. – 株式会社電通グループ」


加藤:プロジェクトの進め方においても、「不確実性耐性」は強いです。電通グループでは、バックキャスティングともアジャイルとも異なる、面白いプロジェクトの進め方をすることがありますね。ゴールを探りながら走り続けられる忍耐力が必要だと思います。


中村:そうそう、モヤモヤっとした中で泳げるというか。ポジティブじゃないとできないですよね。


――出向中のBXD局で聞いた印象的なフレーズはありますか?


中村:「Higher View(すごく高い視座で考える)」ですね。
事業のプロであるクライアントの意見や常識の中で一見対立した事柄が、Higher Viewで見たら調和がとれていて、そこから革新的な問題解決策が生まれてくることがあります。これは私自身日々修行中です。

他にも、「シンプルに」「一文で言うと何?」はよく言われますね。無駄を限界までそぎ落として、それでもそぎ落とせない時に本質的なものが残る、という考えです。


加藤:「シンプルに」は私もよく言われますね。「入れるか迷ったら抜け」と。あとは「『パートナー』となるだけではなく、『リード』する。」クライアントとは、チームでありながら、私たちは一歩先を歩いていないといけない。

どれも部署に根付いている考え方で、次第に自身にも染みついたように感じます。


コンサルタントとしての「想い」と「やりがい」

	コンサルタントとしての「想い」と「やりがい」


――コンサルタントとしてクライアントワークやチームワークで大事にしていることはありますか?


加藤:(いい意味で)賢くて物聞きのいい人にならないこと。常日頃から、経営層と対峙しているクライアントの担当者ではなく、第3者のコンサルタントだからこそ、投げかけられる仮説があると思っています。投げた仮説に対して、経営層がどう反応するか、そこから本質をくみ取ることを意識しています。発された言葉の表層的なところをかいつまんで、勝手に解釈してはいけない。


中村:「クライアントと同志になる」ことを意識しています。リスペクトを持って肩を組んで同じ方向を見ながら、一緒に作り上げる、「共創」できる関係性を大事にしています。


また、不確実性が高い課題に向かい合う中で、ポジティブになって自分自身が面白がることで、「イケそう」という空気感をつくることは意識しています。その道のプロであるクライアントが前を向いた時に、とても大きな力を見せてくれるからですね。


――最後に、コンサルタントとしてやりがいを感じる瞬間を教えてください。


加藤:モヤモヤを抱えていたり考えきれていなかったことを、クライアント自身も理解したうえで、クライアントの手で案件を進められるようになった瞬間でしょうか。

中村:クライアントに感謝される瞬間はもちろんですが、プロジェクトで関わったクライアント側のプロジェクトオーナーが重要ポジションに昇格にしたことがあり、クライアントの社内でプロジェクトが評価されたことがわかった時はコンサルタント冥利に尽きる、とても嬉しい瞬間でしたね。


●今回インタビューした方

中村 太郎
電通コンサルティング シニアコンサルタント
出向先:電通 BXデザイン局3部

シニアコンサルタント  中村 太郎

東京大学工学系研究科修了。
大手エンジニアリング会社に入社後、電通コンサルティングに参画。複数業界の大手顧客に対し新規事業構想策定などに従事。
オムプリュッセとボードゲームを好む。‘21年 カタンデジタルW杯 ベスト64


加藤 久美子
電通コンサルティング シニアコンサルタント
出向先:電通 BXデザイン局1部

加藤 久美子

大阪大学法学部国際公共政策学科修了。
大手総合コンサルティングファームに入社に入社後、電通コンサルティングに参画。食品やヘルスケア、建設業界の中期経営計画やブランド策定の支援に従事。
趣味は、登山・マラソン。