
【中期経営計画策定のプロが語る】未来洞察を戦略に落とし込む「新コンサル思考」―革新的な中計策定のための思考法とは―
この記事はこのような方にオススメ
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※本記事は2024年12月に実施したセミナーの内容を元に作成しています。
不確実性が増す現代のビジネス環境において、3-5年後を見据えた中期経営計画(中計)の策定は、これまで以上に難しくなっています。
多くの経営企画ご担当者さまや経営層のみなさまが、「次の成長戦略を考える必要があるが、何から手をつければよいかわからない」「現状の整理はできるが、それを自社の戦略につなげられない」といった課題を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
また、未来という「一見重要そうだが曖昧なテーマ」を日々の業務や戦略立案にどう生かすか、イメージのわきづらい方も多いのではないかと思います。
本記事では、変革に繋がらない中期経営計画にしないために知っておくべき、中期経営計画におけるよくある課題について解説し、具体的な対策を解説します。
そのうえで、未来洞察と成長領域探索への取り組み方、そしてそれを推進するための思考法「新コンサル思考」をご紹介します。
目次[非表示]
中期経営計画(中計)とは
中期経営計画(中計)とは、企業理念に基づいて事業を進める中で中期(3年~5年後)のあるべき姿を「定量×定性」で定めた目標で描き、目標を達成するためのアクションを明確にしたものです。
定量的な目標は例えば売上や利益等の数値目標、定性的な目標は企業として社会に提供したい価値や目指す姿(例:○○に◇◇を届ける会社)等があります。
東証プライムに上場している企業の約7割は中期経営計画を策定しており、対象期間は3年が最も多く、長くても5年の計画であるケースがほとんどであるという調査があります。
参考:ククレブ総合研究所「上場企業の中期経営計画策定傾向(2022年版)」
また、中期経営計画は米国ではダウ主要30銘柄の中でも2社程度しか発表しておらず、日本特有の取組であるとも言われています。
参考:大和証券グループ「なぜ米国企業は中計を発表しないのか」
中期経営計画の会社における位置づけ
中期経営計画の会社における位置づけとしては、以下の特徴から「一大イベント」になることが多くなります。
- 一度策定したら実行期間があり「策定するのは数年おき」となる
- 目先のことを考えるのではなく、少し先のゴールを見据えたプランを考えるため「普段とは異なる頭の使い方が求められる」
- 会社のなりたい姿や既存事業の拡張方針、新たな成長領域、実現のための資源や体制等「多様な内容が検討範囲である」
また、長期性や柔軟性、持続的な成長、社会的な責任等、社会からの要求水準の高まりから、近年の中期経営計画は難易度が高くなっており、計画性の高い検討プロセスが必要です。
中期経営計画策定時のよくある課題
年々難易度が高くなっている中期経営計画の策定にあたって、最近では以下のような課題が浮き彫りになっています。
戦略の不足・実行推進できない計画になってしまう
「目標数値を掲げているが具体的な戦略が不足している」「計画・ビジョンを定めているが推進できていない」といった課題を抱える企業が多く、中期経営計画を策定するものの変革に繋がらないケースも多いです。
参考:株式会社タナベコンサルティンググループ「長期ビジョン・中期経営計画に関するアンケート調査」
スキルや時間の不足
また、経営企画業務が多岐に渡る中で、新たな価値や中期的な戦略について考えるスキルや時間が不足している実態も明らかになっています。
「尖り」のない無難な中期経営計画になってしまう
このような背景がある中で、PEST、3C、5Fなどよく知られるフレームワークを使って中期経営計画を策定しても、結局「尖り」のない内容になりがちです。
革新に繋がらない中期経営計画を策定してしまう根本的な原因
未来への共通認識の不在
これらの問題の根本には、「未来への共通認識の不在」があると考えられます。中期経営計画は「少し先の未来について考えるもの」ですが、「少し先の未来」と聞いたときに思い描くものが人によって異なると、共通の土俵での議論が進みません。それによって、検討がうまくまとまらず、結果的に無難で総花的な内容の中計が出来上がってしまうのです。
これらの問題の解決に向けて有効なのは「戦略を検討する」前に「『共通の未来』を埋め込む」というステップを設定するアプローチです。
中期経営計画を策定する前に必要な「未来洞察と成長領域探索」のプロセス
未来洞察を活用した成長戦略
「未来への共通認識の不在」という根本原因に対して、どのようなアプローチが有効でしょうか。効果的なのは、「戦略を検討する」前に「共通の未来を埋め込む」というプロセスを設計することです。
未来についての共通認識がなく、目線が揃わない状態での中期経営計画の策定は、まとめることばかりに労力がかかってしまいます。一方、「次に来るのはどのような未来か?」という問いに対し企業としての共通認識があれば、同じ目線での策定プロセスとなり、その理解に基づいて大胆な方針を検討することにパワーを割くことができます。
未来洞察を活用した成長戦略策定のために、電通コンサルティングではユニークで確からしいアプローチを用いています。詳細な情報はセミナー資料をお申し込みください。
セミナー資料の内容を一部ご紹介
- 未来を考えるためのフレームワーク「ダブルダイヤモンド」
- アイディア出しのワークショップのイメージ
- シナリオやロードマップの作成イメージ
- 未来を描き出すために考慮すべき「負のシナリオ」と「人の心」とは?
- 未来に向けたアクションの作り方
- 未来型の問いの設定「どうすれば●●●を×××なものにできるか?」の具体事例
- 自社らしい解き方を模索するために
プロセス推進のための「新コンサル思考」
画像出典:日経クロストレンド
新コンサル思考の定義
これらのプロセスを推進するために求められる思考プロセスを、弊社では「新コンサル思考」と呼んでいます。新コンサル思考は左脳的なロジカル思考と右脳的なクリエイティビティを融合させた思考法で、この考え方を通じて、未来洞察を実践的な戦略立案へと昇華させることが可能になります。
ロジカルに整理して定量的に検証することと、整理される前の情報に立ち返って「グッとくる瞬間」を見つけること。
「コンサル的思考法」と「一人の顧客・生活者としての目線」、この2つのモードを対立させるのではなく、短時間で行き来しながら思考を深めていくプロセスを、「新コンサル思考」と定義しています。
右脳と左脳の融合による「新コンサル思考」について、更に詳しい情報は日経クロストレンド、FINDERSへの寄稿記事やセミナー資料で解説しています。
セミナー資料の内容を一部ご紹介
- 新コンサル思考で意識すべき3つの考え方
「正しいのか」と「ワクワクするのか」/フレームワークで整理する問い/「俯瞰する問い」と「具体的な問い」
- 「新コンサル思考」を業務に取り入れるために必要なこととは?
まとめ
中期経営計画策定における問題(「中計あるある」)はなぜおこるのか。それは、中期経営計画策定のプロセスにおいて作業の土台となる「共通の未来」が定義できていない、つまり議論の土台がないことが原因だと考えられます。
未来洞察を企業としての成長へといかにつなげるか、それを実現するための「新コンサル思考」のポイントについては、資料で解説していますのでぜひお申し込みください。
また、ご自身の会社に当てはめるとどうか、ご興味をお持ちの方はサービスページをご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。
セミナー登壇コンサルタント
電通コンサルティング プリンシパル
山本 創
複数のコンサルティングファームにおいて、消費財・メディア・エンターテインメントなどの領域を中心に、企業ビジョン策定や中期経営計画の立案、新規事業開発や市場ポテンシャルの評価等に従事。 |